雛人形の選び方
「ひなせい」は、皆様のおかげで、40年以上、雛人形をお届けすることができました。ピッタリの雛人形を選ぶのは、とても大変です。また、雛人形の価格の違い、出来栄えの違い、素材が違うとどんなことが起こるのか?など、わからないことだらけだと思います。
そこで、以下では「自分にぴったりの雛人形」を選べるようになるために、「ひな人形の知識」をわかりやすくお伝えします。
ひな人形に詳しくなればなるほど、満足できる1つを選んでいただけるようになります。少し長くなりますが、以下のようなトピックに分けてお伝えします。
雛人形を選ぶ前に、知っておくべきこと
「ひな人形」を選ぶ前に、以下の4つのポイントを押さえてください。
(1)ひな人形は、何年使うものなのか?
(2)ひな人形がある、節句はどんな感じ?何をすればよい?
(3)ひな人形は、いつから飾り始め、いつ片付けるのか?
(4)ひな人形は、どこに飾るか?
(1) ひな人形は、成人するまで飾ってほしい
元々、ひな人形は「形代(かたしろ)」と言って、神や霊が降臨し、娘に襲い掛かる災い、病などを身代わりとして受ける神具として使われてきました。
つまり、ひな人形は、「お子さん」「お孫さん」を、大切に思う気持ちが込められた象徴です。
末長く使っていただきたいですし、成人するまで「毎年飾って、恒例行事」にしてほしいと思っています。
毎年「3月3日」は、お子さん(お孫さん)を「大切に思っている人たちがいる」ことを思い出してもらい、その思いを伝える大切な一日になります。
後悔のない想いがこもった「雛人形」をお選び頂けるようお手伝いしたいと思っています。
・飽きがこないデザイン(モダンすぎる装飾、お顔などは避ける)
・色褪せづらいもの(衣装の素材、染色方法などに関わります)
・飾るときだけでなく、収納も考慮して選ぶ
このような基準で選ぶことをお勧めします。
(2) ひな人形と、ひな祭り、過ごし方
初めての「ひな人形」のある節句の場合、たくさん写真を撮影すると思います。お宅に並んだひな人形を前に、ちょこんと座って撮影するのもいいですが、現代らしく、いろんな撮影方法をご紹介します。
例えば、雛人形や小物を取り出して、一緒に並べて撮影するのも良いと思います。
雛人形を伝統工芸品として、子供の手に届かない場所に置くのも良いですが、お子様のためのものだからこそ、こんな撮影もいかがでしょうか。
なお、このような撮影を前提にすると、雛人形やお飾り、お道具が「固定されていない」ものを選ぶ必要があります。
固定されている、されていないは、購入時に確認しておくことをお勧めします。
(3) ひな人形は、いつ飾り始めて、いつ片付けるのか?
ひな人形を飾るときは、1月初めから飾って下さって構いません。
私たちは毎年「1ヶ月以上飾ってほしい」と思っています。
飾り始めると、なんとなくウキウキした気持ちになれますのでお薦めです。
また、「立春」という季節の変わり目に注意を向けることで慌ただしい生活の中に、ゆとりを取り戻すきっかけにもなります。
片付ける時期は、節句(3月3日)を過ぎた晴れた日に片付けてください。
ひな人形は湿気を嫌います。
次の年まで収納する際、できる限り「良い状態」を維持するためにも、「晴れた日」にお子様たちと楽しく、お片付けをしていただければと思います。
(4) ひな人形は、どこに飾るのか?
一年の中で、特別な2ヶ月を過ごすためにも「毎日の生活の中で、よく視界に入る場所」に飾っていただくのが良いと思います。
子供の部屋に飾るのも良いのですが、雛人形を見るのは「寝るときだけ」となってしまいがち。
それよりは、毎日、家族が集うリビングに場所を用意していただくことをお勧めします。
窓際・壁際に場所をご用意するか、カウンターや棚を片付けて、そこに置いていただくと良いと思います。
コラム
小さなお子様の手に触れる場所に置くか、置かないか
あるお客さまから_____。
お子さんが雛人形を触ろうとしたとき「ダメ!」と強く注意してしまい、その結果、雛人形と目を合わせてくれなくなった。
じゃあ、触っても良いこととすればよかった?
それともそもそも手の届かない場所に置くのか?どちらが正解でしょうか?
とおっしゃっていました。
私たちは、それよりも「思い出が大切」だと思っています。
もし、注意してしまって目を合わさなくなってしまったのなら、そのことが将来の笑い話になれば良いと思っています。
もし、触って壊してしまったとしても、ご安心ください。私たち職人がお直しいたします。
もしくはお客様がボンドや接着剤で補修していただくのも良いと思います。ボンドで直した思い出も含めて大切にしていただく方が雛人形も本望だと思っています。
※ なお、飾る場所、大きさなどお悩みでしたらお気軽にご相談ください
いろんな飾り方、過ごし方、お人形をご覧ください
私たち「ひなせい」では、お客様からいただいた写真をたくさん集めて、共有しています。
お客様のお声ページ(レビュー)や、Instagramで
・飾り方
・過ごし方
・雰囲気
を、できるだけたくさんご覧ください。
さまざまなパターンをご覧いただくことで、ご自身の「雛人形のイメージ」が固まってくると思います。
お顔選びについて
「置き場所」と「サイズ」のイメージが湧いたら、いよいよ「雛人形」を具体的に選んでいきます。まず、なんといっても「お顔」に注目してください。
お顔は、全体の雰囲気を決定する「最重要」項目です。
私たち人間は「本能レベル」で、顔をチェックしてしまいます。お顔に注意が向き、それから全体を見ます。結果、毎日みる雛人形の「お顔」が、自分の好みかどうか?が非常に重要です。
例えば、江戸時代から続く「伝統」を守っている企業様の場合、非常に特徴的です。その特徴的なお顔が気に入ったのなら、そのお顔の中から「サイズ」「衣装」で選び、ご予算に合わせて決定します。
コラム
「ひなせい」のお顔へのこだわり
私たちは、「現代の芸術家」として働く職人さんの「お顔」を選んでいます。
先にお伝えしたように、「雛人形は、長い年月使うもの」だと、考えています。したがって、「伝統的かつ、現代的」な、こだわりの一品が良いと考えています。
全国に店舗を構える有名な人形屋さんなら、大量に販売するので「標準的な品質で、コストが抑えられる」お顔を選びます。それによって、お顔業界(?)は、継続していけます。
一方で、「芸術家としての職人」を支える人形屋がいないと、「伝統の上に、新しいものを積み重ねていく」ことができなくなります。
私たち自身は、「長く、良い雛人形」を使って欲しいと思っていますから、一般よりも高価な人形を扱っています。それは同時に、職人さんに
「お顔の価格の上限は設定しない」
ことを意味しています。
通常の業者さんなら、お顔を作るとき、「予算は、ここまでで」と伝えて、作ってもらいます。私たちは、あえて「予算を決めず」、創造性を発揮してもらうようにしています。
その結果、ひなせいのお顔は、白いだけでなく、精気を感じられる、うっすらとしたピンク色のお顔になり、現代らしい丸いお顔になっています。また、冠にクリスタルを入れるものも作ったりしました。
雛人形の数は、何体が良い?
雛人形の数は、様々あります。
一昔前は、豪華な「7段」などもありましたが、最近では「住環境」に合わせて、コンパクトなものが、好まれています。
普段は使うことがない「和室の床の間(仏壇などが置いてある)」があり、そこにずっと飾っていられるお部屋がある場合は、大きな雛人形でも良いかもしれません。一方で、都市部などでは、余っているお部屋があることは少ないです。日常に使っている部屋に、一時的にスペースを作ることになります。
しかし、 毎日のように、お人形を見る機会 ができるので、「コンパクトなものを選び、日常で触れる」というのも、良いことだと思っています。
12月になると、町中が「クリスマスの飾り」を行い、ちょっとウキウキする時期がありますよね。1ヶ月ぐらい、ウキウキして、いよいよクリスマス!!となります。
私たち「ひなせい」は、それと同じように、「1ヶ月近く、日常の中で見えるところに飾って、もうすぐ雛祭り!」とウキウキしてもらうのが良いと思っています。そんな思いからも「二人飾り」「5人飾り」を中心に、制作しています。
二人飾りは、比較的コンパクトな「雛人形」になります。以下のような形で飾ることができます。
また、二人飾りの場合は、一つ一つに「豪華なお衣装」にすることも、行いやすいです。なお、大人数の雛人形の場合、1つ1つをシンプルに作らないと車が買えるぐらいの価格になってしまいます。
一方で、もうちょっと「大きく」飾りたい。にぎやかな感じで飾りたい場合は、5人飾りがお勧めです。二人飾りよりも、にぎやかになります。
※ 現在は台屏風の絵柄が変更になっております
二人飾りの雛人形一覧
商品を見る五人飾りの雛人形一覧
商品を見る衣装の選び方
ご自身の好みの色を知ることから始めてください。とはいえ、雛人形は「カラフル」です。様々な色が使われているので「紺色系」や「紫系」などに分類することができません。全体の雰囲気、カラーの濃淡などでしか、分類できません。
そこで、「雛人形一覧」ページを、ざっと見ながら、直感的に良さそう!と思ったものを「カート」に入れてください。大体5つぐらい入れてもらうと良いでしょう。
この時、値段や段数や構成は無視して「ぱっと見の好きな色」で、カートに入れてください。そうやって集めた雛人形の色は共通点があります。その共通点をご自身で把握してもらうと、好きな色味が大体わかってくると思います。
例えば、「モダンで、はっきりとした色が好き」や「和カラー系」や「パステル系」などの好みが把握できるようになります。
琴美雛
- 説明
お殿様とお姫様の二人タイプは、飾る場所を選ばず、飾り付けや収納も簡単だということで手軽に飾っていただけます。
袖元には日本刺繍の中でも最高の技法=金彩刺繍を用いております。袖のかさねや襟元の色のかさね方も他に類をみません。
丁寧な塗りの飾り台やつまみ細工で作られたお花など大切な初節句を祝う雛人形には、どうしても手を抜きたくない、それがひなせいのこだわりです。
慶春雛
- 説明
命萌えいずる春の風情を雛人形に体現しました。
春の光を思わせるような淡い色使い、ほのかで華やいだグラデーションの親王タイプの雛人形です。
親王タイプの雛人形は、シンプルで置く場所を選ばず、飾り付けも収納もしやすいので好評をいただいているシリーズです。
愛梨雛
- 説明
メインとなるお人形のお顔はもちろんのこと、屏風の意匠、殿姫ふたりの衣裳、お道具類にいたるまで質にこだわって製作しております。
高貴な人しか身に着けることが許されなかった深みのある紫色のお衣裳は、生地にもこだわり正絹(シルク)を使用し着せ付けております。袖のところの重ねの色目もシック。クリームがかった白に少し色の薄い白を重ねています。
お殿様の衣裳も、折り目のところで柄がきちんとあっているかどうか、襟元の作りもご覧ください。染める技法にもこだわった友禅染めです。
亜加莉雛
- 説明
お姫様は淡い色でまとめることによってほんわりとしたやさしさを出しています。
お姫様のお着物とお殿様のお着物は同じ模様で色調の異なる絹地を使っています。
三人官女は台屏風に合わせた桜が満開のお着物です。
台飾りは前に開く形になっているので、簡単に飾り付けがしていただけます。
飾り台を開き、その上に畳を敷き、雛人形を並べていただきます。
構造自体はシンプルなので、少し大きくなったらお子様だけでも飾り付けができると思います。
なんとなく、好みの色がわかってくると、雛人形を絞り込みやすくなります。
また、衣装は全体の写真だけは、わからない「違い」があります。生地の違い、模様の付け方、装飾方法、仕立て方などで「こだわり」が増えると、その分、価格にも反映されてきます。
次のページでは、「衣装」の細かな違いについて詳しく説明します。
雛人形の衣装の「生地」について知る
素材は大きく分けて、3つあります。
・木綿(天然の綿を糸にして編んだもの)
・化学繊維(人工的に作った糸を編んだもの)
・正絹(シルクのこと。蚕(虫)が作る繭を構成する糸を使って編んだもの)
雛人形には「着心地」は必要ありませんので、木綿(もめん・コットン)は使いません。それよりも、煌びやかであることが必要です。木綿素材は、光沢が出づらいです。色を出すには、白い生地に「プリント」することになります。もし、木綿で雛人形をカラフルにするとなれば、塗装をすることで、色を出すことになります。もちろん、伝統技法をフル活用すれば可能ですが、それでは本物の着物を買うような値段になってしまいます。
化学繊維は、糸の太さを自由に変化させれます。また糸に染色した時、しっかりと色を出しやすいです。さらに、光沢を持った糸を作るのも自由にできます。そこで、雛人形の衣装に使いやすいです。さらに化学繊維は、虫食いやカビになりづらいため、長く使いやすいです。
正絹(シルク)は、天然素材ですが、化学繊維以上の「光沢」と「繊細さ」を持つ素材になります。非常に細い糸で仕上げることができ、見た目の輝きもしっかりと出ます。煌びやかな、雛人形にはピッタリの素材です。ただし、保管には少しだけ気を使う必要があります。湿気のない晴れた日に片付けたり、お子様が触った汚れなどを拭き取って保管するなどの注意が必要になります。
まとめると、衣装の素材は
・化学繊維
・正絹(100%蚕の糸で作られたシルク)
の2つから選ぶことになります。現代のテクノロジーの進歩のおかげで、「化学繊維」と「正絹」の違いは、少なくなっています。どちらも、綺麗なお衣装として見えます。職人や着物に詳しい人以外は、わからないかもしれません。特に「触ってみないと」わからないレベルです。
素材と価格の差、流通量について
化学繊維と正絹の雛人形の流通比率は、9:1 あるいは、もっと正絹が少ないかもしれません。正絹は非常に高価な素材のため、雛人形に使った場合、「二人飾り」でも、20万円以上になります。刺繍や、様々な仕立てを施すと、さらに価格が上がります。
以下を見比べてもらうと、わかりやすいです。
化学繊維は、価値が低いのか?
正絹(シルク)は、取り扱いにも注意が必要で、高価になりすぎるので、「ひなせい」では、特にこだわりがなければ、「化学繊維を選んでもらっても、全く問題ない」と考えています。
正絹は、高価なだけあって「艶(つや)」や「発色」が違います。とはいえ、目が肥えた人ではないと、気づきづらいです。もし、着物に詳しいのであれば、気になるかもしれません。その場合は、正絹にこだわって良いかもしれません。
また正絹は「カビ」や「汚れ」に敏感です。保管前には、油汚れなどを清掃する必要があります。子供たちに触らさないようにするなどの対策も必要でしょう。
一方、化学繊維は「丈夫」「リーズナブル」「子供が触っても大丈夫」です。私たちは、「子供たちが、手にとって眺めたりして良い」と考えています。そのほうが愛着も湧きます。子供に安心して触らせるなら、「化学繊維」がお勧めです。
コラム
こだわりポイントを使い分けよう
化学繊維を使ったものを選んでいただけると、正絹よりも低い予算でも「明らかにみた感じで違いが出る刺繍が入ったもの」を選んでいただけます。
職人視点だと「正絹」が正統派のように見えますが、お客さま目線からすれば「化学繊維」に、刺繍などの細工を施したものを選ぶ方が満足度が高いと思っています。
正絹の雛人形一覧
商品を見る化繊の雛人形一覧
商品を見る着物の装飾について、知識を深めよう
着物は、奥が深い世界です。雛人形のお着物も、さまざま加工方法、装飾、模様の出し方があり、価値が大きく差があります。まずは、どんな種類があるのか?を知ることから始めてください。
全体の雰囲気から、「いいな」と思った雛人形の「詳細」を見ていただくと、衣装の種類が書いてあります。衣装の種類が見えてくると、「ああ、なるほど。こっちの方がちょっと価格が高いのは、そういうことかー」と納得できるようになります。
コラム
一つの雛人形に「複数の加工方法」が採用されています
ひな人形の着物の上2枚は特別です。この2枚に対して「さまざまな加工」を行います。例えば、上1枚目に「ぼかし染め」と「友禅」を組み合わせ、2枚目には「金蘭」で模様を作ることもあります。
以下の技法(加工方法)を知っておくと、雛人形を見る目が変わります。細かな違いに気づけるようになるので、是非、ご一読ください。
ぼかし染めとは?
一昔前は、「単色」の着物が好まれていました。近年の傾向は、「ぼかし染め」と呼ばれるグラデーションがかかった色使いが人気です。見た目にも華やかで、モダンに見える特徴があります。
ぼかし染めの雛人形一覧
商品を見る金襴とは?
元々(江戸時代以前ぐらい古い時代)は、金糸を混ぜて編み込んだ生地のことですが、今では、「縦糸、横糸」を使って模様を編み込む技法です。
金襴ではない模様の出し方には、「友禅」「刺繍」「プリント」などがあります。友禅、刺繍は以下で説明しています。プリントは、以下の写真のように「生地にプリントで塗装」したものです。プリントTシャツなどと同じ技法になります。
プリントしたものは、経年劣化でボロボロになって剥がれたりします。何年も使う雛人形に使うことは避けたほうが良いです。「ひなせい」では、プリントのものは取り扱っておりません。
友禅とは?
京友禅、加賀友禅などで有名な「染め方」です。作り方は、染料を使って生地に「花鳥風月」や「草花」を鮮やかに描くことです。布につけた染料が、滲んだりしないように糊(のり)で縁取ったりするなど、手間暇がかかりますが、鮮やかな仕上がりになります。
最近は、「ぼかし染め」に「友禅染(絵を描く)」を組み合わせたものが好まれています。
ぼかし染め&友禅の雛人形
商品を見る正絹の友禅は、非常にきれいです。正絹がとても糸が細いため、美しい仕上がりになります。
正絹&友禅の雛人形
商品を見る刺繍とは?
金襴では、表現しきれない「たくさんの色」や「複雑な模様、色使い」を施す時に「刺繍」を使います。特徴は、立体感があって「色鮮やか」なことです。
立体感があると、雰囲気が変わります。豪華に感じるかもしれません。あくまでも好みですので、いろんな刺繍を見比べたり、刺繍と友禅を見比べることをお勧めします。
刺繍
友禅
刺繍の雛人形
商品を見る金彩(きんさい)とは?
金泥(きんでい)と呼ばれる染料を使って、筆で模様を描いた加工のことです。雛人形の衣装に使うことで、シンプルだけど、豪華に見せることができます。金彩が使われていると、少しずつ価格がアップしますが、きれいさ、優美さもアップします。
金駒(きんこま)とは?
金糸を「こまぬい」して、模様をつけたものです。系をさまざまな形、模様にして、それを縫い付ける技法を「駒縫い」といいます。金糸を縫い付ける場合、「金駒」と呼んでいます。金駒は、立体感のある模様が浮き出るので、豪華に見えます。
金彩&金駒の雛人形
商品を見る衣装着と、木目込みの違い
雛人形の衣装の着付け、着せつけ方は、大きく分けて「衣装着」と「木目込み」の2つがあります。
衣装着は、本当の着物のように何枚もの布を重ね着させ、ボリューム感を持たせたものです。一方で木目込みは、着物を固定するための溝を持った木の型(人形)を用意し、布を入れ込み固定するように作ります。ボリューム感はないですが、コンパクトな作りになります。
衣装着の雛人形は京都由来で、木目込みよりも歴史が古いです。江戸期に、京都発祥の雛人形の文化が江戸に取り入れられ、当時の職人たちによって「木目込み」という作り方が採用され、生まれました。木目込み=江戸木目込みとして、今でも伝統工芸品として残っています。
「ひなせい」の店頭での人気度は、衣装着が9割、木目込みが1割です。おそらく、現代らしく、モダンな凛々しいお顔には「衣装着」が似合うのだと思います。木目込みは、リアリティよりも、デフォルメして、コロンとした印象のある雛人形になります。どちらが良いかは、完全に好みとなります。
ざっくり言えば「衣装着 = 美しい、豪華、華麗」で「木目込み = 可愛い」と思っていただいても良いでしょう。価格は、衣装が多彩になる「衣装着」の方が高い傾向にあります。
「ひなせい」では、人気の「衣装着」を中心に、さまざまな雛人形を製作しています。
仕立ての違いについて、知ろう
人が着物、浴衣を着る時、自分で着付けするだけでなく、「着付けができる人」にお願いすることがあります。着付けを行う人の技量が高ければ、ずれにくく、見た目に美しく、バランスが取た状態になります。もし、着付けをする人が下手なら、しっくりこない、着こなしになります。
雛人形の着物にも「着付師」が存在します。着付師の熟練度によって、似たような着付け型でも、バランスや、全体の雰囲気に違いが出ます。
袖の形や、裾の流れ方、重ね方を見比べてもらうと「熟練か、そうでないか」は、意外に気づきます。熟練の着付師が手がけたものほど、価格も高くなりますが、バランスも整ってきます。
ひなせいでは、熟練度の違いによって、以下のように分けています。
・本仕立て ・・・ 熟練、卓越の職人
・段仕立て ・・・ 経験豊富な職人
・一般仕立て ・・・ 一般的な技量の職人
コラム
雛人形の数でも「仕立て」が変わる
雛人形が2体なら、1つにしっかりとこだわることができます。ところが、5体に対して「本仕立て」を施すと、数が多い分だけ金額がアップします。
昔のようにたくさんの段に飾る場合は、一般仕立てで十分でした。
最近、人形の数が減ってきたこともあり、本仕立てのものがよく作られ、買われるようになりました。
雛人形の姿勢
雛人形の姿勢には「立ち雛」と「座り雛」の2種類があります。雛人形の歴史では、「立ち雛」からスタートし、座り雛が主流になりました。その後、少しずつですが「すらっとした姿勢」の立ち雛も選ばれるようになりました。
雛人形のルーツである「紙で人形」を作り、穢(けが)れを移し流す儀式の場合、「人に似せる」ことと、作りやすさで今でいう「立ち雛」の形になりました。この風習が平安時代にも受け継がれ、衣装の切れ端で作る雛人形にも受け継がれました。
やがて江戸時代になる中で、「座り雛」が増えていきました。同時に、木目込みも江戸では増えていきました。それらの伝統が混ざり合い、
・古い歴史の「衣装着」かつ、新しい(江戸)「座り雛」
が、現代の主流となりました。
座り雛は「横に広がり」があり、三角の形状がうっすら表れ、安定感があります。雛人形のイメージにぴったり合うのが「座り雛」です。また、3段飾りなどになると「座り雛」となります。
一方、立ち雛は「スッキリ」した印象を与えます。横幅も取らないため、洋室や天井の高い部屋に似合うかもしれません。立ち雛は、テレビなどで放映された「即位の礼」をイメージさせるため、天皇家の即位式が行われた年には、いつもより選ばれます。
どちらを選ぶかは、好みです。二つを見比べてみて、イメージを膨らませてみてください
飾り方について
雛人形は「飾り方」も様々あります。
(1) 収納飾り
台座の中に片づけることができます。片付けるとコンパクトになります。また、次年度に飾る場合も、箱の中に全てが収まっているので、出し忘れることも少なく、部品の紛失も防ぎやすいです。
コラム
収納飾りは、種類が少ないのはなぜ?(「ひなせい」は、多いです)
収納飾りは現代の住環境にぴったりです。10年ほど前に、この業界に登場して、少しずつシェアが増えています。お客様にとっては、すごく良い選択肢ですが、業者側からすると「制作中に場所を取る」特徴があります。
幅広い「収納飾り」をラインアップするには、広い倉庫が必要となります。「ひなせい」は、雛人形の生産地でもあり、都心からは近いですが、田舎の「静岡」で製作しています。広い倉庫を備え、万全の体制を整えています。
(2) 段かざり(収納)
段飾りとは、3段以上の雛人形のことを指します。ひなせいでは、段飾りでも「台座に収納できるもの」と「台座に収納できないもの」に分かれます。
台座に収納できるものは、段飾りでも比較的コンパクトに片付けることができます。ただし、すべての部材が「1つの箱」に入るため、重たくなります。重たいものですので、クローゼットの中でも低い位置に保管することになります。
※ 5段以上になると、収納箱を用意しても巨大になります。台座に収納するタイプは素材はしません
段飾り(収納)の雛人形
商品を見る(3) 段かざり(組み立て)
台座に収納できないものです。組み立てた飾り台を解体して、配送時の箱などに収納してください。あるいは、ご自身で用意した収納用の袋などを使って保管します。
組み立て式の場合、飾る準備の際に「ネジで留める」などの作業が必要になります。簡単ですので、苦手を感じている人もチャレンジすれば、大丈夫です。収納する場合は、1つに纏まらない代わりに「軽く」「バラバラ」に保存できます。
天袋(押入れの上段の高さ50cm程度の収納場所)に、保管することも可能です。クローゼットの上棚に保存することもできます。
コラム
段飾りの収納 vs 組み立ての選び方
収納飾りも、組み立て飾りも「完成」の形は変わりません。どのように片付けるか?で選んでいただければと思います。組み立ての難しさの差は、さほどありません。
(4) 平かざり
平かざりは、「コンパクト」で、スッキリとしたものになります。台座が平ですので、高い位置に飾るときに良いです。
なお、平飾りの場合、ひな人形の収納用の「桐箱」をご用意しているモデルもあります。
平飾りの雛人形
商品を見る(5) ケース飾り(お道具固定)
写真のように「ケースの中」に飾る形になります。お道具固定のタイプは、雛人形を別途、箱から取り出し、所定の位置に飾ります。
ホコリや、汚れが気になる方に選ばれるタイプです。
お道具だけを固定しているタイプは、ケースから雛人形を取り出し、お子様と一緒に撮影することができます。
コラム
ケース飾り(お道具のみ固定)は、「ひなせい」ぐらい
私たちは、上記のような写真を撮影したい方々の要望を受けて、「お道具だけ固定」を用意しました。他では、ほとんどみないタイプで、こだわりの雛人形です。
(6) ケース飾り(全固定)
最も簡単に飾る、収納することができるタイプです。ペット(特に猫)がいらっしゃる場合、いたずらされたりするそうです。ケースに入っていれば安心かもしれません。
ケース飾り(全固定)の雛人形
商品を見るお人形の収納方法
意外にもお人形の「収納方法」から、雛人形を探す方も多いです。そこで、ひなせいでは「収納方法」からも、雛人形を探しやすいように分類しています。
(1) 桐箱に収納
桐箱に収納することで、湿気を防ぎやすくなります。また、片付けた時の高級感、満足感が高いです。
桐箱収納の雛人形
商品を見る(2) 化粧箱
どの飾り方でも、「化粧箱(紙製)」をご用意しています。箱は捨てずに、収納時に使っていただけると嬉しいです。
化粧箱収納の雛人形
商品を見る(3) 飾り台に収納
飾り台に収納するタイプの場合は、下記のような形で収納します。激しく揺さぶったりしない限り、下記のような形で、十分に安全に保管することができます。
飾り台収納の雛人形
商品を見る※ 収納の基本は、「高温多湿、日光を避ける」ことです
お人形の大きさについて
当店で扱っておりますお人形のサイズは、5種類ございます。
※ お人形の種類によって多少違いがございます。
以下で、それぞれの詳細のサイズを記載しています。
お人形の髪について
雛人形は顔が命!
と言いますが、髪型でも印象がとても大きく変わります。
雛人形の髪型には大きく分けて「御垂髪(おすべらかし)」と「下げ髪」の二種類があります。
下げ髪は、平安時代に貴婦人たちが用いていました。
木目込み人形には昔から下げ髪が使われることが多いです。
また、御垂髪は明治時代頃の儀式の際に結う正式な髪型です。
背後に垂れる長い髪は、後ろから見ても前から見てもとても美しく優雅や気品を感じます。
皇后さま、雅子様が即位式の時や婚礼の時に用いられた髪型ですので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ひなせいでは優雅に流れるようなラインの御垂髪の髪型を採用しています。
御垂髪、下げ髪のどちらも、髪の毛を一本一本束ねて作ってあります。
昔は本物の髪の毛を使ったお雛様もありましたが、現在は使われていません。
今は、天然の蚕の繭から紡いだ絹糸を黒く染めた「スガ糸」と、人工的にツルツルした光沢を出す「ナイロン糸」を使うことが一般的です。
ナイロン糸は安価で手に入りやすい反面、静電気が起きやすいためお手入れが大変というデメリットがあります。
その為、
「何年後かにはお雛様の髪の毛がボサボサになってびっくりした!」
とお話を聞くこともあります。
ひなせいのお雛様は全て「スガ糸」を使って髪の毛を結っています。
スガ糸は天然素材なのでとても高価なもので、しっとりと重厚感のあり、その輝きはナイロン糸と比べものになりません。
お雛様を選ぶ時は、髪の毛の色・艶は重要です。
ひなせいのお雛様をご覧いただく際には、髪の毛にも注目してみてください。
雛人形を探す時期について
私たち「ひなせい」の場合、雛人形づくりは「春から夏にかけて」スタートします。雛人形のお顔、衣装などのパーツを職人が一つ、一つ手作りします。全ての部品が完成した後、やっと組み上げていきます。
雛人形は、数ヶ月かけて出来上がるため、売り切れてしまったからと言って、「慌てて補充することができない」です。
雛人形選びは、ウェブサイトなどを活用して「こんな感じのものがいいなー」と、早めに目星をつけていただくのが良いです。
なお、「2月に女の子が生まれて、慌てて探す」という方もいらっしゃいます。私たちとしては、慌てなくていい、来年の「ひな祭り」のために、ゆっくり探してもらう方が、結局は良いものが選べると思っています。
2月になると、売れ残った在庫品が多くなります。選択肢もなく、ピッタリのものを選べないよりも、ゆっくり楽しく、じっくり選んでもらいたいと思っています。
毎年、数組の方から、販売開始前(12月ごろ)に「1月に出産予定です。予約させてください」とご要望をいただきます。販売開始前でも、特別に予約を受け付けてもいます。
もし、ご要望でしたら、公式の予約ではありませんので、メールでお問い合わせください。